1890 (同人)
基本戦略(文章の著作権者TTB)一鉄道経営ゲームファンのTTBより皆様へ
1890は同人の鉄道ゲームとしては、かなり完成度の高いものだと思っています。1830(アバロンヒル)などに代表される、鉄道シリーズの西日本版です。しかしながら、そのフレーバーの独自性を醸しだし、類似ゲームとの差異化を図ることや、ヒストリカルトレースのために、やや細かいルールがあります。このことは、決してゲーム自体の面白さを減殺するものではありませんが、そのために、「とっつきにくい印象」を与えかねないことは、否定しません。実際、最初のゲームで、いちいち、ルールブックを参照していては、時間がかかるだけでなく、楽しさ半減ですね。私はそれによって、再プレイされないことになると、とても残念です。ここでは、簡単な解説を通して、できるだけルールを親しみやすいようにするために、あらかじめ知っておいてほしいことを書いていきます。 具体的な内容は、各会社の特徴と簡単な戦略についてです。ルールに熟練すれば、他の18XXゲームの中でも短時間で終了でき、なおかつ戦略幅の広いゲームを楽しめるようになります。私のこの文章が、みなさんの、プレイアビリティ向上に貢献でき、このゲームプレイについての「自己再燃焼」の一助になることを願ってやみません
このページの先頭に戻る個人会社で一番安いです。必ず¥20で購入できるのがメリットです。(^^;) 特殊能力としては、公共会社への売却時に、有馬に線路が敷けるというのがありますが、普通、ゲームの流れが読めない序盤に、行われてしまうので、慣れないうちは、直線の線路タイルを谷上につなげるように敷いておくのがよいでしょう。また、山陽電鉄、阪神電鉄、神戸電鉄などに関係していない場合は、敢えて敷かないというのも立派な選択肢だと思います。
表示価額が有馬鉄道の次に安い¥40です。プレイ人数にも因りますが、このくらいの購入をしても、公共会社を設立することは可能(5株購入されれば公共会社設立)なので、そこそこ、よい会社だと思います。
表示価額が、¥70です。現存する鉄道会社なので、他の個人会社と違い、5列車が購入されても、閉鎖されません。しかし、これが裏目に出る場合もあり、公共会社に売却できないままだと、残ってしまって、持株制限に算入される株式を¥70で、延々持ち続ける(しかも収入激減)という悲劇に陥る場合があります。(^^;) 公共会社にできるだけ早く売ってしまいましょう。
これは大変魅力的な個人会社です。¥110が表示価額も魅力(公共会社に最高¥220で売却できる)ですし、さらに、阪神電鉄の株が1株付属しています。難点は、「おいしい会社」なので、オープニングビッドのときに、競り合いになる可能性が高く、購入価額が上昇傾向にあることです。しかしながら少々値が張っても、魅力は十分ですね。
公共会社に売却できる個人会社の中では、最も表示価額が高い会社(¥160)です。さらに、二国鉄道同様、京阪電車の株が1株付属しています。この会社を公共会社に売却できた場合は、最大¥320を手にすることができます。独力で公共会社を建てる場合は、最低でも¥325(¥65×5株分)必要ですが、それを考えると、とてもよい会社ですね。(^^;) しかし、もちろん、いいことずくめではありません。元々値が張り、そして競争になりがちなので、購入の際に所持現金をかなり消費する。従って、公共会社を自分で設立することが困難になりがちです。自分が社長を努める公共会社以外は、この個人会社を¥320の最高価額で引き取ってくれることは少ないでしょう。自分の公共会社も無く、引き取ってもらう交渉もうまくいかなかった場合、この会社は命取り(敗因)になりかねません。
個人会社の中では、最高価額の¥220です。運営ラウンド毎の収入も¥40あり、さらに、大阪市営地下鉄の社長株(2株分)がついています。しかし、さすがに小人数プレイの場合以外では、この個人会社を買うと公共会社の設立は、独力で、ほぼ不可能です。主に地下鉄の株価勝負になるでしょう。社長株を持っているので、地下鉄の初期株価を設定できますが、慣れないうちは最高額の¥100を呈示していおきましょう。このことにより、¥200(¥100×2株分)の資産を既に手に入れていることになります。他の公共会社が設立されてから、少し地下鉄の設立は遅れますが、地下鉄は収入の高い大阪市内を本拠地にしているため充分に追いつけます。それまでは、じっくり、配当してくれそうな他社の株券を購入しつつ、堅実にプレイしましょう。
表示価額が¥100で資本金も¥100なので、2列車(¥80)1両しか買えませんが、確実に収入の上がる会社です。大阪南〜柏原間に線路を敷いて、2列車を運行する一方で、運営ラウンドで一番最初にプレイできるメリットを活用しましょう。ほしい線路タイルが敷けなくなることは、まずないので、安心して運営できますし、線路タイルを交渉材料にもできます。3−3列車が購入されると、近畿日本鉄道(近鉄)に合流が可能となりますが、その際に、会社にある現金の半額が所有者の懐に入ります。このメリットをうまく生かしましょう。4列車が購入されると、近鉄に強制合併させられるので、新しい公共会社が設立されたりして、4列車が出そうになったら、運営だけしてからすぐ合併して近鉄の1株券をもらい、あとは近鉄の社長(多分、大阪電気軌道の所有者)がうまく経営してくれることを祈りましょう。(^^;)
近鉄の母体となる会社です。表示価額が¥200で資本金も¥200です。さらに近鉄の社長株がついています。初期の近鉄株の値段は、地下鉄同様、¥100にしておくと無難でしょう。この会社も値が張りますので、しばらく、公共会社の自力設立はできなくなりますが、大阪東にスタートトークン(最初にある駅ですね)があるので収益は結構あります。また、河南鉄道や大阪鉄道を併せて所有していると大阪南東部の開発(1運営ラウンドに複数の線路タイルが敷設できる)が進めやすく、将来の近鉄のための路線つくりにも役立つでしょう。近鉄は、この会社の所有者が、3列車が購入された以降、設立することができます。この会社で迷うのは、このタイミングでしょう。3−3列車が購入されると、近鉄は強制設立になるので、他の公共会社の立ち上げの具合などをよく見て、できるだけは運営して収益をあげ、線路を敷いておいてから立ち上げましょう。
表示価額及び資本金、そして近鉄株が1株という条件は河南鉄道と同じです。違いは、近鉄への合流時に全資産が近鉄にいってしまうことです。よって、河南鉄道に魅力は劣りますが、その分、大阪電気軌道の所有者以外は食指を動かすことが少ないので、比較的、表示価額に近い値段で購入できるのがメリットです。線路も殆ど自分で敷くことはないですが、近鉄のために、線路が敷けるときはできるだけ敷いておきましょう。戦略はほぼ河南鉄道と同じです。
大阪電気軌道に次ぐ、高値(表示価額¥160)の小会社です。史実でも最後まで近鉄に合流しなかったので、ゲームでも近鉄への合流は、5列車以降で可能(6列車が購入されると強制合流)になります。5列車が購入されるのは、ゲーム終盤を意味するので、この会社は他の近鉄系会社とは多少異なります。かなり長い間、単独の会社として存続していると思ってください。資本金は¥320ありますが、最初に鉄橋(¥80)が必要なので、列車購入代金も含めるとそれほど潤沢にあるわけでもありません。なお、スタートトークンは、2個(奈良、京都)ありますが、当面奈良の方は無視してください。こう書くと何かメリットが無いようですが、ちゃんと利点はありますのでご心配なく。(^^;) 3列車が所有できれば京都方面でかなりの収益が見込めます。また、京阪電車の京都侵入を阻止するような線路の敷設が可能です。もちろんこれを推奨するわけではなく、これを交渉材料にして、京阪のプレイヤーにプレッシャーをかけ、利益誘導を図るのが得策でしょう。いくら長くもつとはいえ、公共会社を所有しないと勝利は困難です。京阪のプレイヤーの協力を引き出して、公共会社の経営にこぎつけることができれば、比較的安定している近鉄株が2株あることも勘案して、かなり有利にゲームを進めることができるでしょう。
現存しています。したがってこのゲームでも、強制閉鎖も強制合流もされません。表示価額は¥100と手ごろで、神戸や姫路に線路をつなげば、かなり高収益が見込めます。また、小人数でのプレイ以外では序盤で山陽電鉄が設立されるのは希なので、殆ど邪魔されること無く線路も敷けるでしょう。列車操作にも向いていますし、いつでも持株制限外の会社に転換できるのもメリットです。このためかもしれませんが、意外に購入価額が高くなるのがデメリットかもしれませんね。(^^;) 中終盤に山陽電鉄や阪神電車などと併せて所有することができると、かなり威力は大きいですね。
その名の通り、京都(と福井)にある私鉄です。価額は¥200で、後発会社の中では一番安いです。特殊能力はは、京阪電車が京都にトークンをおいていると、毎運営ラウンド¥40の収入が会社にあります。後発会社は基本的に、列車保有義務が無い、価額が高い、収入も高い、そして売却できないなどの特徴をいずれも持っているので、誰かが破産してゲーム終了になった場合には有利ですが、銀行が破産してゲーム終了になった場合は、不利になります。購入のタイミングを見計らいましょう。
実際に列車を一両も所有していない鉄道会社です。従って固定収入が無く、本拠地の神戸を私鉄各線が利用する際に、神戸から上がる収入の半分を受け取ります。まあ、ショバ代稼ぎですね。(^^;) 自分で山陽電鉄や阪神、神戸電鉄などを持っていると、非常に有利ですが、それ以外の会社は、神戸を使ってくれない可能性もあるので、慎重に購入しましょう。
大阪北部の住宅地に向かう鉄道です。特殊能力としては、6列車が購入された次の運営ラウンドの収入が¥100になります。これは、1970年の大阪万国博覧会の効果です。(^^;)
大阪南部の住宅地と都心を結ぶ鉄道です。京福電鉄とよく似ている特殊能力があり、堺にトークンのある公共会社に毎運営ラウンド¥70の収入があります。京福電鉄と少し違うのは、収入を受ける公共会社が限定されていないということです。
多分、公共会社でもっとも早く設立が見込まれる会社です。理由はいくつかありますが、序盤から収入が多い、トークンが3つある、などが大きいでしょう。黄色の線路タイルを敷設するたびに会社に¥10の収入(阪急電鉄は駅周辺の再開発がお得意なのです)があります。また、宝塚にトークンをおくと、毎運営ラウンドに¥40(宝塚歌劇団の効果です)が会社に入ります。(^^;) 設立時には、尼崎か大阪北にトークンを配置しましょう。これによって、2列車など安い車両をたくさん買って、かなりの収入が見込めます。多分運営ラウンド2回くらいで安値の列車なら元がとれてしまうでしょう。弱点ですが、阪神より遅く運営してしまうと本拠地の豊中から、尼崎に乗り入れられない場合があります。最初のターンに設立される公共会社が少ないと、3列車が購入されることがないかもしれないので、豊中で「立ち枯れ」なんてこともありますので留意してください。後は基本的に優良会社だと思ってもらっていいでしょう。
阪神も序盤に設立されることが多い会社です。理由は既に1株売れている(二国電鉄に1株付属)ためです。つまり、株式ラウンドで、4株購入されれば設立できるからです。スタート位置は西宮ですから線路に¥80かかること、阪急ほどは、序盤の収入がないなどの理由はありますが、それらを割り引いても、充分に採算の取れる会社です。中盤以降、東西方向にしか線路が延びにくい(実際阪神電鉄は、殆ど阪神間の一路線しかありません)などにより収入は伸び悩みますが、序盤の主導権を握るには、非常に重宝な会社です。また、西宮に茶色の線路タイルが敷けると他社よりも収入は¥10多くなるというおまけ(甲子園効果)もあります。(^^;)
阪神と同じ理由で、既に1株売れている(京津電鉄に1株付属)しているので、これも4株で設立できる会社ですが、阪神や阪急に比べると、序盤の収益はあまりありません。少なくとも大阪周辺か、京都にはトークンを配置しないと、収益があがらないです。しかも、奈良電鉄の項で述べたように、奈良電鉄は京阪電車の京都乗り入れを拒否できます。うまく交渉して奈良電鉄のプレイヤーの協力を引き出してください。特に、このゲームでは収入が低いからといって一概に悪い会社というわけではありません。低いなら低いなりに利用することを考えましょう。あまり稼動する車両が少ないということは会社の資金をその分消費しないですみます。つまり個人会社の買い取りに使うお金が増えるとも言えるのです。個人会社の協力会社への売却は、序盤の貴重な収入源ですので、自分の手元にお金を入れるための会社、また新型列車購入のための会社などと割り切るのもいいかもしれませんね。(^^;)
日本最大の路線長を誇る私鉄です。他の公共会社と違って既に6株分は、近鉄系小会社(神戸電鉄を除く小会社4社)にキープされています。設立も、3列車が購入されて以降は、大阪電気軌道の所有者が、設立を宣言するだけです。(^^;) 3−3列車が購入されると強制設立となりますが、設立した瞬間にそれが、運営ラウンドのいつであっても、順番を割り込ませて「特別運営」をします。この運営では、配当しなくても株価が下がりません。つまり、全く株価に悪影響を与えないまま、会社に資金を溜めることができます。阪神、阪急、京阪などに比べて、序盤のダッシュはできませんが、株価は¥100などの高値で、始まり、配当を続けながら、株価でも勝負できる優良会社です。路線の広さとトークンの多さを生かして、ディーゼル列車が走りまわる展開になると一層有利です。
元の国鉄です。設立株価が¥100に定められています。つまり、独力で設立するには、¥500必要なので、なかなか設立できないでしょう。また、収入の内の半分は、自動的に会社に残り、残った半分を配当するかどうか社長が決めます。したがって、同じ路線を同じ列車で走っても他の公共会社の半分の収益しかあがりません。もっとも、京阪神など重要拠点に、最初からトークンがあること、配当しつつ列車購入代金も会社に貯まること、そして、列車の保有制限両数が他の公共会社より1〜2両多いこと、などのメリットもあります。どちらにしろ、この会社1社では、勝利は苦しいと思いますので、2社目を保有し、JRで購入した列車をそちらの会社に回して、収益をあげることを考えると有利でしょう。
大阪市電の所有者が社長株を最初に持っています。従って、あと3株で設立することが可能ですが、あまり急ぐ必要はないでしょう。なぜなら、地下鉄には、スタートトークン以外のトークンがない、大阪市内が茶色の線路タイルになると、他社のトークンを無視(地下を走っているので他社のトークンの影響を受けないのです)できるなどの特徴があるからです。できれば列車がある程度進むまで設立を待って、なんとかディーゼル列車を持たせることを考えましょう。もちろん株価も高いことが多いですが、地下鉄の所有するディーゼル列車の運行収益は、絶大なものがあります。典型的な追い込みタイプの会社です。
本拠地が大阪南ですが、スタートトークンの場所も含めて大阪市内の開発をするためには費用(¥80)もかかりますし、収益的にも特筆するようなものはありません。ただ、近鉄と同盟を結べば、近隣の開発を一緒に行なえるため路線に関してはあまり心配ないかもしれません。どちらかというと京阪電車のような使い方をするのがよいかもしれませんね。あと、「男の夢」などと称して、和歌山、関西新空港、高野山への線路を敷くのも楽しいかもしれませんが、勝利はお約束いたしかねます。(^^;)
このゲームでの私鉄公共会社の中では、唯一、中小私鉄に分類される会社です。路線は西に偏っており、予備のトークンも1つしかありません。あまり魅力はなさそうに見えますが、実は設立後の収益は、南海などよりもよいことがあります。これは、神戸や姫路に隣接しており、また神戸電鉄がこの会社が設立する前に、既に線路を敷いてくれていることが多いからです。また、唯一のトークンですが取りたてて急いで使う場所もないので、頃合いを見計らって大阪に近いところにおきましょう。意外に優良会社になったりしますし、神戸高速鉄道を持っていると、非常に有利です。