Roll Playing Game(RPG) 3.RPGは衰退していない
3−1.プレイヤーのニーズに合ったRPGに分化していく
私に関して言うと、RPGは、やはり、他のプレイヤーとプレイするのが基本と考えています。テーブルトップのRPGが、その他RPGのすべての基本であるとも考えます。最初にふれたD&Dがテーブルトップだったからかもしれませんが、実際に他のRPGは、テーブルトップを作り変えたものであることは皆さん周知の事実でしょう。では、なぜ、ゲームブック、コンピュータRPG、トレーディングカードゲームなどが生まれてきたのでしょうか。理由はそれらを生み出すための要求(ニーズ)がそこにあったからです。
私が、実際にD&Dをプレイしようとすると(その意志の強固でないがゆえに)様々な困難に直面したのです。第2項の冒頭で簡単に私の経験についてふれましたが、ルールが難解なこと、自由さゆえに何をやって良いかわからなくなること、相手が見つからないこと等です。
それらの要望や不安にちょうど見合ったシステムが、ゲームブック、コンピュータRPG、トレーディングカードゲームなどであったと思います。「ダイスだけで、かつ1人で好きなときに遊べる」という理由を、私はゲームブックに傾倒する過程で発見しました。初期のゲームブックは筋がほぼ完全に決まっているものの何回かは「必ず」遊ぶことができるのです。コンピュータRPGも同様です。つまり、困難な局面に妥協策とは言え対策をうってくれているのです。
この中のキーワードは「好きなときに」よりもむしろ「1人で」であるとおもいます。第1項で述べた文章を次に再掲します。プレイヤーが基本的に1人でコンピュータがGM(ゲームマスター)をしているか、プレイヤーが通常複数で人間がGMをつとめている。さて、GMが複数(2人以上)居ることは、RPGの場合は成り立ちません。ルール(神みたいなものでしょうか)が複数になるからです。いくら自由度の高いゲームとは言ってもルールが単一でないゲームは成立しません。また、プレイヤーが複数でGMがコンピュータのときは、RPGは成立しにくいように思います。せっかく複数のプレイヤーが居るのにその複数(プレイヤー相互)の意志を考慮せずにコンピュータGMに、単一の行動しか選択して伝えられないし、その対処方法も単一になってしまうからです。ディプロマシーなどマルチゲームでは、成立するかもしれない。そこで、結果として再掲の文章のキーはプレイヤーが1人か否かと考えてもよいと思います。
3−2.プレイヤーのキャラクター
第1項で私は、RPGから連想するものによって強引に「多数派」のかた、と「貴重な人材」に分類しました。(すみません(^^)では強引ついでに、その皆さんのキャラクター(ロールプレイのキャラクターではなくて現実に持っている性格の意味のキャラクター)を分類しましょう。
「多数派」の方は、対人関係について少し引込み思案になっていることがないでしょうか。他人と接触(会話したり)すると、当然のごとく何らかの関係が生じます。このことは、快適なことも受けると同時に不快なことも受けなくてはならないということに他なりません。意識無意識にかかわらず、相手を傷つけたり、傷つけられたりすることが日常的に起こります。これが嫌いな方が「多数派」に多いような気がします。コンピュータRPGはいつでも電源を断つことによって、「関係」を断つことができます。相手との関係に深く関与することも無いので、傷つけあったりしません。私が子どもだった頃、人間のコミュニケーションの方法は、会話しかありませんでした。ところが今は、その代替手段がある(インターネット、電子メールなどもその一つ)のです。だから、自分と他人にとても優しい方は、1人でできるゲームを主にされるのだと思います。
一方、傷つけあったりすることは多少あっても、本来ヒトが持っている会話するという能力をフルに活用して、自らにも他の人にもより高次な何かを作り上げそれを共有して互いに高めあっていこうとする強い方が、「貴重な人材」には多いように思います。
人には個々にそのキャラクターがあります。そのキャラクターに合わせて、意識無意識に関わらず、その都度自分に最良のRPGシステムを選択していることが、今日のRPGの分化につながっているのだと思います。
3−3.RPGは衰退してなんかいない
今、少なくとも私の周りでは強い方は少数です。優しい方のほうが多いです。でも、第2項で申し上げたとおりRPGは、分化しているだけです。RPG全体の認知度は、今も上昇傾向にあると思います。また、強い、優しいの例は上記のように、実際は、はっきりと決まっていません。概して相対的なものです。強い方が時と場合により優しい方になったり、その逆も起こりえます。
そして、強い方は悩みを持っています。それは、自分のテーブルに強い自分でも対処できないようなプレイヤーが来たらどうしよう。つまり、強い自分に不安を抱くときです。同様に優しい方は不満を持っています。つまり、コンピュータ相手では、通り一遍のことしか起きるわけはありません。どうしても、いずれ必ず単調になります。時と場合により、お互いは他方に移動するのです。この時、両者は互いによりよく相手を知ることができ、RPG全体のレベルは高まっていくと思います。最初は、テーブルトップをコンピュータに移植して誕生したコンピュータRPGから、逆にテーブルトップのシステムが生まれることもあるのです。
私がこんな駄文を辛抱して読んでくれている皆さんにお願いしたいのは、テーブルトップを主にされている人もコンピュータを主に使っている人も、互いに相手を排斥しないでほしいということです。それは互いの移動を妨げ、ひいてはRPG全体のレベルを下げることになってしまうと憂慮するからです。私が思うに今はまだそんなことは起こっていないと思っています。だから、今、RPGは衰退なんかしていないと考えるに至ったのです。
分化のところで述べましたが、見かけ上テーブルトップRPGは少なくなっているように感じられますが、本当はそうではなく常に次の可能性を求めて、コンピュータRPGなどの派生物と互いを高めあっていると思います。
ここまで、私論にお付き合いくださってありがとうございます。なにぶん浅慮と、経験値不足のため誤認していることが多々あるかと思います。ご批判、ご意見などメール、掲示板等で頂戴できたら幸いです。