深淵(HJ)


(シナリオ)霧の港町 深淵の自作シナリオです 著作権者TTB

(シナリオ)高き空、深き地の底 深淵の自作シナリオです 著作権者TTB

(シナリオ)時の弓 深淵の自作シナリオです 著作権者TTB


最近、プレイした中ではとてもお気に入りのゲームです。まず、国産ゲームだから英語読まなくていいし。(^^)でも、その割には、ルールの日本語が意外にわかりにくかったりするのです。(笑)

まわりで、「深淵は結構プレイされていますよ」なんて聞くんですけど、サークルに入ってない私には、全然プレイする機会がないのよね。コンベンションに行っても深淵の卓って少ないか、ゼロだし。(;_;)

これと天羅万象は、よく比較されますね。どちらも好き嫌いが激しいという点で。でも、私にとっは、同じように思いますけどね。どちらもある程度特有のノリを要求されるということで。深淵にノリ、なんていうと誤解されるかもしれないけど。要はゲームコンセプトの理解や世界観の理解を、ゲーム開始前にGMとプレイヤー間で共有しておくべきなんですよね。あ、これってどのシステムでも基本的には同じか。

深淵で、ストーリー作りがコンセプトなら、GMと各プレイヤーが協力して良いストーリーをこしらえていくことが、参加者に科せられた負荷ですね。この負荷をみんなで担って進めるのがこのゲームの基本と思います。

刻々と与えられる夢歩きに象徴される情報。次々と起こる事件。これに合わせて自分のキャラクタはどのように対処すべきか。今後どのように展開すれば、良いストーリー作り貢献できるかを常に考えていくこと。他人のパート(出番)だからといっても、決して気を抜けない。そこには自分のキャラクタに関係するような「情報」が他のキャラクタに与えられている。自分のキャラクタは当然前記の「情報」は知らないのだけれど、プレイヤーにはわかっているから自分のトークン(キャラクタ)を使って、どのように今後絡ませるかも、他人のパートのときに考えておかないと、冗長になってしまいがちである。(ゆめゆめ気を抜くなかれ)

ストーリーシナリオを用意するGMのみならず、プレーヤーであっても積極的に作ることに参加できるということ。これがTTBの深淵お気に入りの理由ですね。

以下は、TTBがGMN氏、永史氏の好意により紡ぐことのできたストーリーの一例である。(1/25/1998)

その墓地は、まことにもって墓地としての諸条件を全て満たしていたといえよう。人々の住居から充分離れており、人気はほとんどなく、悲しいくらい静かだ。その墓地の片隅にこれまた、お手本というべきような墓守の小屋が建っており、中にもはや老境に近づいたガウドが住んでいた。この小屋から町並みを眺めると、街の中心にある神殿の尖塔上から、カラスがこちらに向かってそれこそお誂え向きに鳴いてくれるのだった。

「止まれ。町に入るには一応検査をせねばならぬ。」、朝霧と共に街道に現れたカーラグは衛兵に呼び止められた。「よし、通ってよいぞ。」と言われ、幾ばくかの通行料を置いたときもこのまじない師の心は一つのことで占められていた。「ここが導きの場所なのですか。わが主よ。」

ダリンゴースの中でもランキンは、さして大きな町ではなかったが街道沿いにあるため結構物資の流通などもあるらしく、ちょうど朝ということもあって市がたち、それなりに賑わっていた。カーラグは市場の喧騒には全く注意をはらわず、しばしの憩いを得られる場所を探していた。ふと、市場の中に人だかりがあるのを見つけたカーラグはその中央に、奇妙な風体の子どもを見つけた。その子は目のところをくり抜いた麻袋をすっぽりかぶって、顔を隠していた。その子は明らかに市場に日常の用を足しに来ているようだが、人々はその子を嫌悪しているようだった。その子が移動するとそれを中心とする人だかりも移動した。

カーラグは、市場をぬけて小さな宿屋に入った。おやじさんに、暫く厄介になると告げ、頼んだ朝食をとっていると、「おやじ。酒くれ、酒。後は飯だ。」と後ろから粗野な声を聞いた。ふりむいてみると衛兵の格好をしたあばた面の男であった。「ようボロミア。昨夜は夜番だったのか。何もなかったようだな」「何もあるもんか。俺の番のときにまたあの通り魔が出たんじゃたまらん。それでなくても毎晩大変なんだから。」カーラグは、通り魔という言葉に反応した。ボロミアと呼ばれた男に向かって「不躾ながら教えて欲しい。私は、まじない師のカーラグと申します。さっきこの町に着いたばかりです。してその通り魔とはどんなものなのですか」「通り魔かぁ」ボロミアは一寸警戒するような目つきになったが続けた、「1カ月くらい前からかな。夜、若い女性が殺されて心臓だけを切り取られるという恐ろしい事件がこの町で起こるようになった。もう被害者は8人になる。俺達も見張っているのだが手がかりも何もない」「そうですか。」ちょっと、カーラグは目を虚空に向けていたが、「ところで市場で目のところをくり抜いた麻袋をすっぽりかぶっている子を見たのだが、あれはどこの子かご存じないだろうか。」「あんた、何でも知りたがるんだな。まあ俺も好奇心はある方だけどさ。」と、ボロミアが言っているところに、おやじが彼の朝食を運んできて、ボロミアが朝食と格闘している間に、話を継いだ。「あの子は墓守のガウドさんとこにいるんだ。あんな格好してるだろう。みんな魔性のものじゃないかと思っているんだよ。」

数刻後には、カーラグとボロミア2人連れ立って、店の外に出た。「で。あんたこれからどこに行くね。」「もしよければ墓場まで案内してくれませんか。」「うーむ。この町に来るとあの大きな尖塔のある寺院に行くものが多いんだが。あんた変わってるね。」「私は、私の運命に向かって生きるのみです。」「運命ね。そんなもんかね。ほらあそこに小屋があるだろう。ガウドさんのだよ。」「ありがとうございます。では、私はこれで。」「もういいのか。一緒に小屋まで行ってもいいぜ。」「それはお断りいたしましょう。私についてくるとあなたまで私の運命に付合わせてしまうかもしれない。」「ふうん。俺はその運命とやらと遊んでみるもの面白いなと思うんだがね。」「あなたが兵士として、これまで何人の人を殺めたか知らないが、私もそれに倍することをやっている。運命と遊ぶなどゆめゆめ思われることないよう忠告しておこう。」「そうかい。どうもよくその運命とやらがわからんが。まあいいや。じゃあな。」夜番明けのボロミアは兵舎に戻って休むことにした。「俺にしちゃ珍しく親切なこった。」どうも、それは病魔に憑依され、痘痕だらけの自分の面体を全く気にしてなかったカーラグに対する無意識の礼だったのかもしれない。兵舎への道はいやに遠く感じられた。

カーラグは、ゆっくりとノックした。ガウド老人は、特に断ることもないのでと中に入れてくれた。ガウドの訥々と話しだした。一緒に住んでいる子は女の子で、自分の血縁ではなく、10年位前に赤ん坊の彼女を、美しい女性から預かったこと。預けられた赤ん坊はかわいらしい子どもであったが長ずるに連れ体に異変が生じ、やむをえず今のような格好をさせているとのこと。ここにも、なぜか知らねど、おおいなる業を背負ったものが一人。カーラグは、また問う。「ここが導きの場所なのですか。わが主よ。」

そこに、ノックの音がする。「今日はよく客人の見える日じゃ。」ガウド老人がドアを開けると、そこには、ボロミアが息を切らして立っていた。

という具合に話は進行していきます。全部ばらしちゃうと、GMやってくれたGMN氏に申し訳ないからね。ここでPCはカーラグとボロミアで、おのおのが引いた運命にしたがってプレイしています。(してるつもり)

このように、プレイヤー側の設定からストーリーを創っていけるということに、私は大変魅力を感じています。

機会あればまたプレイしてみたいゲームです。GMも是非やりたい。でも私じゃ無理かな。

と思ってたら、ありましたわ。プレイ機会。今度は永史さんのGMで、GMNさんと陽陰さんと私がプレイヤー。とても楽しいセッションだったです。半ば強引に企画たてにいって良かった。永史さんのぽろっと出した企画に便乗して良かった。またやろうっと。(^^)


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